日本の昔話 三枚のお札


まいど!kojiです!

三枚のお札

むかしむかし、ぽっかり山のふもとのお寺に、和尚さんと小僧さんが住んでいました。

ある日の事、和尚さんは小僧さんを呼んで、ぽっかり山へ彼岸花をとってくるように言いました。

「よいか、ぽっかり山には悪い鬼婆が住んでいるから気を付けるのじゃぞ。花をとったらすぐに戻って来いよ」

和尚さんはそう言うとお札を三枚、小僧さんに渡しました。

「もし困ったことに出会ったら、お札様にお願いするのじゃ」

山には彼岸花が一杯咲いていました。

小僧さんは時間がたつのも忘れて、彼岸花を摘み取りました。

気が付くと辺りはもうすっかり暗くなっていました。

小僧さんは帰り道がわからなくなってしまいました。

小僧さんが困っていると、運よく向こうに家の明かりが見えました。

「こんばんは。今夜泊めて下さい」

小僧さんが戸を叩くと、家の中からおばあさんが出てきました。

「いいとも、いいとも、汚い家だが泊まっていきなされ」

親切なおばあさんは、小僧さんに温かいご飯をご馳走してくれました。

小僧さんはお腹がすいていたので、何杯もおかわりをしました。

「遠慮しないでたくさんお食べ」おばあさんは優しい声で言いました。

真夜中の事でした。

しゅっ しゅっ しゅっ

しゅっ しゅっ しゅっ

隣の部屋から、変わった音が聞こえてきたのです。

目を覚ました小僧さんは何の音だろうと思って障子の破れ目から、隣の部屋をのぞいてみました。

「うわあー!」 小僧さんは大声をあげて、腰を抜かしてしまいました。

囲炉裏のそばで、おばあさんが包丁を研いでいたのです。

親切なおばあさんは、恐ろしい鬼婆だったのです。

「ひっひっひっひっ。わしの正体を見たな。今、お前を喰おうと思っていたのじゃ。ひっひっひっ、旨そうによく太ったわい」

鬼婆は、包丁を持って小僧さんに近づいてきました。

鬼婆に捕まりそうになった時、小僧さんは言いました。

「ま、待って!おいら小便がしたくなった。便所に行かせてよ」

「しょうのない小僧じゃ。わしは小便臭い奴は大嫌いじゃ。早く行ってこい」

鬼婆は小僧さんが逃げないように、小僧さんの腰に縄紐を結わえ付け、便所の外で待っていました。

「まだかあ、早くしろ」「まだだよ。まだ、半分しか出ないよ」

「まだかあ、早くしろ」「まだだよ。」

その間に、小僧さんは腰の紐をほどいて、柱に結び付けました。

そして、お札を1枚柱に張り付けて、お願いしました。

「お札様、どうか、逃がしてください」

そう言うと、小僧さんは便所の窓から外へ逃げ出しました。

「小僧、まだかあ」鬼婆が言いました。

「まだだよ」お札が小僧さんの代わりに答えてくれました。

「小僧、まだかあ」「まだだよ」

そのうち鬼婆」は我慢できなくなって、縄を力いっぱい引っ張りました。

「早く出てこい!」

すると柱が外れて、便所は音を立てて崩れ落ちました。

「ありゃりゃ、小僧がいない、小僧はどこへ行った、さては逃げおったなあ」

「小僧待て!わしのご馳走、待て!」

鬼婆は小僧さんを追いかけました。

鬼婆の足の速いこと、速いこと。

小僧さんはたちまち追いつかれてしまいました。

小僧さんは2枚目のお札にお願いしました。

「砂山、出ろ!」

すると鬼婆の前に、大きな砂山が現れました。

鬼婆は足がずるずる滑って、うまく登れません。

その間に小僧さんは、どんどこ、どんどこ、逃げました。

「もう大丈夫」小僧さんがほっとして休んでいると、

「小僧、待て!」鬼婆がまた追いかけてきました。

鬼婆はだんだん近づいてきます。

小僧さんは三枚目にのお札にお願いしました。

「川、出ろ!」

すると鬼婆の前に大きな川が現れました。

いくら鬼婆でも、こんな大きな川を泳いで渡ることはできないと、小僧さんは安心しました。

ところが鬼婆は何でも出来るのです。

鬼婆は川の水を、ごっくん、ごっくんと、飲み始めたのです。

見る見るうちに川の水は無くなっていきます。

小僧さんは慌てて逃げ出しました。

小僧さんはもうお札を持っていません。

小僧さんは転がるように山を下って、お寺に帰り着きました。

どん どん どん

「和尚さん、助けて!鬼婆が追いかけてきます!早く開けて下さい!」

小僧さんは門をたたきました。

和尚さんは急いで小僧さんをつづらの中に隠しました。

そして、餅を焼きながら鬼婆がやってくるのを待っていました。

「和尚、今ここへ、小僧が逃げ込んできただろう」鬼婆が来てたずねました。

「誰も来ないが…。」

「嘘をつくと食うぞ」

「わしをか?だが、ただで喰われるのはつまらない。どうじゃ、化けくらべせぬか。わしが負けたら喰われてやろう」

「それは面白い。わしに勝てると思っているのか。ではすぐに化けくらべを始めるとしよう」

和尚さんが鬼婆に言いました。

「大入道みたいに大きくなれるか」

「なれるとも、なれるとも」

そこで和尚さんは言いました。

大きく 大きく 大きくなあれ

大きく 大きく 大きくなあれ

声に合わせて鬼婆は、ぐんぐん大きくなりました。

「今度は豆粒みたいに、小さくなれるか」

「なれるとも、なれるとも」

そこで和尚さんは言いました。

小さく 小さく 小さくなあれ

小さく 小さく 小さくなあれ

声に合わせて鬼婆は、みるみる小さくなりました。

すると和尚さんは、お餅に鬼婆をくるんで、

ぺろっ

と、食べてしまいましたとさ。

お話の解説

千葉経済大学短期大学部こども学科教授

横山洋子

鬼婆と小僧の知恵比べ。スリル満点!の展開で子供は、自分が追いかけられているような気分を味わうでしょう。和尚さんの機転も流石ですね。擬態語や擬音語が多く使われているので、リズミカルに楽しく読めるといいですね。「大きく大きく」は声を強めて「小さく小さく」は声を弱めて読むと、臨場感が表現できるでしょう。

koji

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スーパーマーケット勤務で野菜と果物を販売しています。 野菜と果物を見つめて40年!現在進行形のプロです。 好きな物はとにかく”肉”が好きです! カツカレー、焼き肉、ステーキ、生姜焼きまで!たまりません! 歌も好きで、暇をみては一人カラオケします! それから、ヒーロー達の乗り物が好きなんです。 例えば【サンダーバード】に出て来るメカ、 【バットマン】が乗っている全ての乗り物、 【マジンガーZ】を操縦する頭の上に乗っかるホバーパイルダー、 古くは 【スーパージェッター】の流星号、 【マッハGOGOGO】のマッハ号 などのミニチュアを集めてます。 【ルパン三世】も大好きで『カリオストロの城』でハマりました。 細かい物まで見つけては集めてます。