まいど!kojiです!
今回のお話は、題名は聞いたことがあるけど、内容をよく知らない…というようなお話です。
3年ねたろう
昔、お金持ちの家の隣に、とても貧しい家がありました。ところが、
その家の一人息子は、いい年をして、朝から晩まで寝てばかり。

お父さんが「寝てばかりいないで、ちょっとは働け。」と言っても、だまってゴロゴロ。
お母さんが「そんなことでは、嫁ももらえないぞ。」と言っても、だまってゴロゴロ。
村の人たちからは、「ねたろう、ねたろう」と言われ、馬鹿にされていました。
ところが、3年3か月寝て過ごしたねたろうは、ある日、急にむっくり起き上がると「山へ行ってくる。」と出かけていきました。
そして、大きな鳩を捕まえて帰ってきました。

お父さんが「鳩なんか捕まえていったい何をする気だい?」と尋ねても、ねたろうは、「いいから、いいから」
またすぐに出かけて行きました。
今度は町で提灯を買って帰ってきました。
お母さんが「提灯なんか買ってきていったい何をする気だい?」と尋ねても、ねたろうは、「いいから、いいから」
その日の夜の事です。
寝太郎は鳩と提灯を持って隣のお金持ちの家へ忍び込みました。
屋敷の中の、大きな松に木に登ると、
「これこれ、家主よ、出てこい」と、大きな声で言いました。
みんなが寝静まった夜の事ですから、寝太郎の声はよく響きました。
主人は「何事か」と、出てきて、暗闇に向かって言いました。
「どなたか呼んだかね。」すると、ねたろうは落ち着いた低い声で、
「わたしは八幡山の神社の神である。」
主人は縁側にひざまずき、深々と頭を下げて言いました。
「神様、失礼いたしました。私に何か御用でございますか?」
「お前には娘が一人おるな。」
「は、はい。」
「その娘を、ねたろうの嫁にせよ。」
「はい、しかし、いくら神様のお申しつけと言えども、ちっとも働かず、寝てばかりいるねたろうの嫁にやるのはいかがなものかと…。」
「私の言う事が聞けないのか?それではこの家はつぶれるであろう。」
「そ、それは困ります。仰せの通りにいたします。」
「よかろう。では、わしは山へ帰るぞ。」
ねたろうは、提灯に火を入れ、鳩の足にくくりつけると、山へ向かって放しました。


主人が頭を上げると、暗闇に向かって消えていく明かりが見えました。
「神様のお帰りだ。」
主人は手を合わせて見送りました。
夜が明けると、主人がねたろうの家へ、頼みに来ました。
「ねたろうよ、娘の婿になってくれ。」
ところが、ねたろうは、
「おれは、いやだ。寝てるのがいい。」
「寝ていても、文句は言わないから、どうか婿になってくれ。神様のお告げなんだ。」
「それなら仕方がない。婿になるか。」
こうして、ねたろうは、お金持ちの家の娘と結婚することになりました。
ねたろうは、婿になってからと言うもの、人が変わったように、よく働くようになりました。

ですから、もう誰も「ねたろう」と、馬鹿にすることはなくなりました…..とさ。
koji